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第1回 Proxmox VE 9.0 : 導入

   

はじめに

同僚からProxmox VEについて知りたいという要望があったのでn番煎じな内容となりますが、Proxomox VEについて記事にしたいと思います。複数回に分けて書くことになりますが、Proxmox VE上にVMまたはLXCを導入して、その上にDockerを導入するところまで記事にしたいなと思っています。

Proxmox VEのインストールは、公式インストールISOを利用する方法と、Debian GNU/Linux (以下、Debianと記す)に追加でパッケージを導入する方法があります。この記事ではISOを利用する方法について触れます。

2025/08/10 時点では、Proxmox VEのベースはDebianの最新版である13(Trixie)になっています。

本記事の想定読者

  • はじめてProxmox VEを使う方
  • 手っ取り早く仮想化環境を体験したい方

ISOの入手

Proxmoxの公式サイトからダウンロードします。

以下のURLにアクセスすると、Proxmox VEの製品ページが開きます。ページ中の赤枠部分もしくは、上部のDownloadsからISOイメージのダウンロードページにアクセスできます。

https://www.proxmox.com/en/products/proxmox-virtual-environment/overview

ダウンロードページを開くとProxmox VE 9.0 ISO Installer という項目が表示されるので、その項目内の Download (図の赤枠) を選択し、ISOイメージをダウンロードしてください。

実機PCにインストールする場合は、ダウンロードしたISOをUSBストレージに書き出してください。USBストレージへの書き出しには、RufusRaspberry Pi ImagerVentoyなどを使用してください。

インストール

ここでは、スクリーンショットを取る関係で仮想マシン上にProxmox VEをインストールします。実機PCでも手順は同様ですので参考にしてください。

Proxmox VEの利用に必要なPCのスペックついては、以下のページに記載されているので、そちらを参照してください。

https://www.proxmox.com/en/products/proxmox-virtual-environment/requirements

インストールイメージを起動

インストールイメージが書き込まれたUSBストレージを実機PCに取り付け、 USBストレージブートを実施してください。USBストレージが読み込まれると、図のようなブートローダ画面が表示されます。この記事ではGUI を用いてインストールするため、「Install Proxmox VE (Graphical)」を選択します。

ブートローダ画面

ライセンス確認

インストーラのロードが完了すると、下図のようにライセンス確認画面が表示されます。 右下の 「I agree」 を選択して次に進んでください。

ライセンス確認

インストール先の選択

次に進むと、インストール先のストレージ装置を選択する画面が表示されます。

Proxmox VEのストレージ構成としては、ざっくりProxmoxVE システム用とVM/コンテナ用でストレージ装置を分けておくといいと思います。 ワタシの場合、実機PCでは ProxmoxVE システム用に NVMe SSD を割り当て、VM/コンテナ用に HDD を割り当てています。VMの起動を高速化したい場合はVM/コンテナ用に別途 SSD を割り当てるという方法もあります。

また、Proxmox VEではZFSを利用することができるので、複数のHDDを使ってZFSによる高可用ストレージを構築し、それをVM/コンテナ用ストレージに利用することも可能です。

どのような構成を採るにせよ、ProxmoxVE システム用とVM/コンテナ用で分けるのをオススメします。

ここでは 32GB の /dev/sda と256GBの /dev/sdb の仮想ディスクが事前に作成されており、/dev/sdaをProxmox VE システム用として利用します。

インストール先選択

タイムゾーン設定

特筆すべきことはありません。自身の利用環境に適した時間と地域の設定をしてください。

タイムゾーン設定

管理者パスワードとEメールアドレスの設定

ここで設定するパスワードは rootユーザのパスワードになります。

Eメールアドレスの入力も必要になります。ここで設定したEメールアドレスはrootユーザに紐付けられます。

パスワード設定

ネットワーク設定

ここで設定するIPアドレスとホスト名は Proxmox VEへのSSHリモートログインや、ブラウザからの管理画面アクセス時に使用されます。

ネットワーク設定

設定確認

これまで設定した内容に問題がないか確認します。この次からはインストール処理が開始されるため後戻りできません。間違いがあったら、戻って訂正してください。

この記事では、インストール完了後の自動再起動を防ぐため、Automatic reboot after sucessful installation のチェックボックスを外しています。

設定確認

インストール

インストール中は以下のようなダイログが表示されます。さほど時間はかからないので、コーヒーを飲む間はないと思います。

インストール中

インストール完了

おつかれさまでした。これでProxmox VEのインストールが完了です。

再起動完了後、同一ネットワーク内のPCから記載されているURLにアクセスしてProxmox VEの管理画面を開いてください。

インストール完了

インストール完了後最初にやること

インストール直後、Proxmox VEのaptリポジトリ設定はSubscriptionが必要なエンタイープライズ向けリポジトリが有効になっています。検証・実験用途で利用する場合はSubscription不要な検証用途向けリポジトリに切り替える必要があります。以下ではその切り替え手順について説明します。

ログイン

インストール時に設定したパスワードでログインしてください。user nameはroot になります。

ログイン後、サブスクリプションについてのアラートが表示されます。有料サブスクリプションに登録していない場合に表示されます。検証用途での利用では特に問題がないので、無視してください。

対象サーバの選択

Proxmox VEの「サーバ表示」ツリーは、

データセンター
├── 物理サーバ ← Proxmox VEサーバ
    ├── 仮想マシン
    ├── Linuxコンテナ
    ├── ストレージ想定
    ...
...

のような階層構造で表現されます。

下図で選択されている pve はインストール時のネットワーク設定で記載したProxmox VEサーバのホスト名になります。

aptリポジトリの変更

次の手順を実施します。

  1. Subscriptionが必要なエンタープライズ向けのリポジトリ(ceph-squidpve)を無効にする
  2. 「追加」からno-subscriptionである検証用途向けリポジトリ(ceph-squidpve)を選択し追加する

「ノード ‘pve’」 のメニューから「アップデート」→「リポジトリ」を選択します。

初期状態では下図のようになっています。赤枠部分がSubscriptionが必要なリポジトリとなっています。

エンタープライズ用リポジトリ設定

上述の手順を実施後は、下図のようになります。赤枠の部分が無効化したエンタープライズ向けリポジトリで、青枠の部分が追加した検証用途向けリポジトリにあります

検証用リポジトリ設定

上記の設定が完了後は、「アップデート」からProxmox VEを最新の状態に更新してください。

おわりに

この記事では、Proxmox VE 9.0.Xのインストール手順と検証用途向けのリポジトリ設定についてまとめました。次回以降の記事では、仮想マシン用ストレージ領域の設定と仮想マシンの導入についてまとめたいと思います。

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